エゴノキにビール

 

 縁側のガラス戸を開けると、甘い花の香りが漂ってくる。

 30mは離れているだろうか、あるかなしかの南風に乗っている。

        

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 エゴノキだ。

 小枝の先端に房状の白い花を来いっぱいにつけているから、遠目にもすぐに見つけることが出来る。

 

 芳香は、かつて石鹸の木と呼ばれたということを思わせる。

 子どもの頃、落ちた花を水の中で揉むと、石鹸のような白い泡が出た。

 

 誘われて、花の下に入る。

 

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 全身で、この甘い香りをかいでいる。浴びている。

 

 何のいわれもないが、この木の下で酒もいいと思いついた。

 いすを出してきて、ビールをやる。旨い。    f:id:komut:20200601074744p:plain