東京五輪は、午後8時から国立競技場で無観客での開会式が行われた。
各国選手団は新型コロナウイルス対策のためマスクを着け、国ごとに大きく距離を取
って入場した。
観客のいないスタジアムは時折、来賓や報道陣から拍手が起きるものの、熱気とは遠
い雰囲気。
それでも選手たちは国旗を振ったり、携帯でスタンドの写真を撮ったりしながら、思
い思いに行進した。
アイルランド選手団は国名の紹介で、スタッフに一礼して行進を開始。
アルゼンチンは音楽に合わせて跳びはねながら進んだ。
ウガンダは一部の選手が踊りを見せた。
各種目での世界中の一流選手たちが見せるパフォーマンスを思ってきたが、招致決定
以来様々なトラブル続きで、新型コロナウイルスの感染拡大も収まらない。そんな、割
り切れない複雑さを抱えたまま五輪が開会した。
五輪実施可否の論点になった「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として、ま
た東日本大震災からの復興を世界に発信する機会」(菅首相)は、実現しなかったり忘れ
られてしまったりして、そこで約束されたことは何も実現していない。
当時の首相の嘘から始まった招致活動。(状況は「コントロール」されている。)
「復興五輪」と被災地をだしにしたのに、何の貢献もできていない。
海外から客は来なくなり、「おもてなし」どころではない。
大会経費は当初より膨らみ、「コンパクト五輪」でもなくなった。
国立競技場や大会エンブレムは、いったん決まった計画が白紙撤回された。
組織委森前会長は女性蔑視発言で辞職、開閉会式の楽曲担当者の辞任、演出統括担当者の解任などか、直前まで続いた。
「平和の祭典」や「団結」といった五輪のメッセージが、虚しく聞こえてしまった。
こんな状況から、カオスが生んだ五輪という人があった。