胸の香り-背中の感触


 今日こそ、晴耕雨読
 小雨なので、あらゆる「…ねばならない。」は許される。

 何人かの、いくつかの短編を、楽しく読んでいる。
 今、宮本輝の「胸の香り」に来た。
 ビールは、小説の選択も肯定する …。

      背中に、何か感触がある。
      痛みではなく、痒みでもない。
      何か今触れられているような、思い出せよというような。

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 そうか、君が昨日私の近くを訪れ、帰りしなに私に触れた、それか。
 私は出入り口から去る君の後ろ姿で確認した。

 そうだ、君に始めて逢ったったのは、今頃だったね。
 少し手前から君の方に向かって進む私は、顔を向けずに目だけで、その女性を見つめた。--そして、私たちの視線が重なった。

 君は、小椋佳の「真っ白な陶磁器」でないが、薄紫の紫陽花だ。