夕方になると、西日が差した。
予報通り秋雨前線が南下して、この辺りを過ぎたのだろう。
私は、1週間の80%の仕事が終わって、少し安心したところだ。
雨が上がったのだから、「走る」かどうか迷った。
「走る」のは、明日にまわして、音楽を聴くことにした。
思わず、太宰の『人間失格』に当たった。
「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな身も
ふたもない告白から男の手記は始まる。男は自分を
偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し
「失格」の判定を自らにくだす。でも、男が不在に
なると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのだ。
「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みた
いないい子でした」と。
私は人生を甘く見ているわけではないが、自分の納得がいく方向へしか歩かないと思い続けてきた。。
太宰が裕福な家に生まれたのとは、全く正反対の環境なのだが ・・・。
同じなのは人生への甘え
酒を、「旨い。」と飲んでいる。
飲み過ぎはよくないが、休肝日がそれを帳消しにすると考えてきたが、どうも違うらしい。飲む量が問題と言うが、それを押さえるのは、
私にとってはとても難しい。
太宰にとって、『人間失格』が彼の「遺書」だったとすれば、私にはまだ時間があるから、太宰とのいくらかの共通点をつまびらかにするのは別の機会としよう。
「私たちの知っている葉ちゃんは、とても素直で、
よく気がきいて、あれでお酒さえ飲まなければ、
いいえ、飲んでも、……神様みたいないい子でした」
酒が快く回ってきたので、やっぱり終わりにしよう。