「今日は秋晴れだ。」と言い聞かせるよう朝だ。
少しぐらい雲があっても、ここまで雨ばかりだったから。
今までより少し冷えた空気を、ゆっくり吸い込む。
金木犀の香りに、身体の外から内から満ちる。
家から200mは離れているが、それは屋根の高さに咲いていて、北からの緩やかな空気の流れに乗って、私の所へ来ているのだ。
近くに寄ってみると、花の形が香りと同じくらい魅力的だ。
バニラに乗せて、点々で楽しむ。
秋風は 涼しくなりぬ 馬並めて
いざ野に行かな 芽子が花見に
万葉集 詠み人知らず
この和歌は、芽子(はぎ・萩ーこぼれんばかりに咲き誇る萩=こぼれ萩)
だが、味わっているのは「こぼれ木犀だ。」