日本人の贈答習慣のうち、もっとも頻繁に行われるものは、旅行土産だそうだ。かつて土産と餞別はセットで、旅の習俗として欠かせない習慣だったという。
そんな古いことを言う人もあると、ささやかながら餞別を渡した生徒たちは、土産を買ってきた。
休み時間に、何かと声を掛けてくる生徒たちだ。
土産は何がいいかと聞かれていたが、少額だから気に掛けるなと言っておいた。互いの意は届いた。
その昔旅は徒歩で、遠出のには苦難・困難がつきものだっ
た。そのため、人々は旅に出る人の安全を祈願し、物品や金
銭、詩歌を贈ったり、宴を催したりした。
言葉が記されている。餞別の習慣はかなり古くからあったよ
うだ。「餞はなむけ」という言葉は本来「馬の鼻向け」という
意味で、旅立つ人の目指す方向へ、見送る人が所有する馬の
鼻を向けて、その安全を祈ったことに由来する。
旅の思い出の一つとして、後で話をすることがあるだろうか。