トミノの地獄


 「トミノの地獄」というの(詩)を知っているか、朗読すると呪われると言われて、広がっているらしい、と問われた。

 知らない、(全く知らない。初耳だ。君らの若い世代の ・・・)と答えた。


 ちょっと癪しゃくなので、帰宅してから Google に依った。

              姉は血を吐く、妹は火吐く、
      可愛いトミノは宝玉たまを吐く。
      ひとり地獄に落ちゆくトミノ
    イメージ 1地獄くらやみ花も無き。       
    鞭で叩くはトミノの姉か、
    鞭の朱総しゅぶさが気にかかる。
    叩けや叩きやれ叩かずとても、
    無間むげん地獄はひとつみち。
    暗い地獄へ案内あないをたのむ、
    金の羊に、鶯に。
      皮の嚢ふくろにやいくらほど入れよ、
      無間地獄の旅支度。
    
    春が来て候そろ林に谿たにに、
    暗い地獄谷七曲り。     イメージ 2
    籠にや鶯、車にや羊、
    可愛いトミノの眼にや涙。
    啼けよ、鶯、林の雨に
    妹恋しと声かぎり。
    啼けば反響こだまが地獄にひびき、
    狐牡丹の花がさく。
    地獄七山七谿めぐる、
    可愛いトミノのひとり旅。
    地獄ござらばもて来てたもれ、
    針の御山おやまの留針とめばりを。
    赤い留針だてにはささぬ、
    可愛いトミノのめじるしに。


 これは、西條八十の詩集『砂金』(1919年)に収録された詩らしい。
   少年トミノが一人で地獄を旅することになった様を綴ったもの。
   「死後の再生」も歌い込まれていて、絶望だけでなく希望も感じ
  させる、父または妹に捧げる詩だ。(Wikipediaなど)
 
   西條八十といえば、中山晋平とのコンビの『肩たたき』などの
  童謡、高校や大学の校歌、『青い山脈』や村田英雄の『王将』等
  の作詞を思い出す。


 ◇ この「呪われた」は、寺山修司が「トミノの地獄」を音読してし
  ばらくして亡くなったという噂から、声に出して読むと呪われると
  いう都市伝説が生まれたことからきているらしい。

 ♤ そして、この話の出所は、比較文学者の四方田犬彦氏の「心は転
  がる石のように」の中で、「万が一にも朗読などしてしまうと、あ
  とで取り返しのつかない恐ろしいことが生じる。」 と述べたという
  ことだ。



 さらに、同名の丸尾末広の漫画の流行にもあるらしい。

 イメージ 3 誕生後、訳有りの母親から薄情な親戚に押しつけら   

 れた二卵生双子の兄妹。おざなりな名前を付けられ、   

 ネグレクトされた上、遂に人買いに売られてしまう。
  彼等が辿り着いた先は「蛸娘エリーゼ」を看板とす   

 る見世物小屋。二人に与えられた新たな名前は、兄は   

 「トミノ」、妹は「カタン」であった。(Amazon)




 食わず嫌いにせず、ちょっとチェックしてみようか。