山道夏深し

 

 今日は、怪我後初めて山道を歩いた。

 速さも、負荷も、距離も気にしないで、のんびりと10kmくらい歩けたらいいと考え

て家を出た。 ― 雷雨の可能性は低いが、気温は予想以上に上がってしまった。

 

 200mくらいの山の間の道だから、遭う人もなく気長に行くことが出来た。

 道路は舗装だが、木立が日差しを遮ってくれたし、草木の緑が呼吸を和らげた。

 

 歩く先に赤紫の点々が落ちている。立ち止まって深く息をする。目の高さで探す。

 葛だ。

         

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 また、歩き出す。

 これは秋の七草のはずだ。

 

 1歩、2歩 ・・・ 葛、尾花、桔梗、撫子、女郎花、藤袴 ・・・と行くが、

7つ目が浮かんでこない。

 女郎花、桔梗、撫子は、庭にあるからすぐに思いついたが、出てこない。

 

 かなり歩いて行くうちにやっと、萩が出て来た。

 桔梗や女郎花はお盆に供えたが、萩はまだ房に一つか二つ色付いたところだった。

 

 萩、尾花、桔梗 ・・・といけば、思いついたかもしれない。

 怪我のせいで、思い出すのに時間がかかってしまったのかと、一人笑ってしまった。

 

                  

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         河原撫子の甘い香りは比類ない。

 

 道のりの半分当たりに、〇江さんが住んでいる。

 私の、もう一つの趣味の世界の知恵袋になってくれている。

 

 ここに立ち寄ることが、今日のWALKINGのもう一つの目的だった。

 今日も、お茶と漬け物で、ちょうど父の世代の話に時を過ごした。

 

 額の絆創膏もあって、尻に根っこが生えただろうから送ると言われた。

 その話に、自ら丹精した野菜などを土産に、言葉に甘えた。