正月二日の朝

 

 後の日の出など、誰も見ないだろう。

 もう出るはずと待ったり、雲が出たのを眺めたりはしないだろう。

 

 私は元旦と同じに目が覚めてしまったので、起きてしまうことにした。

 お日様は昨日と同じだっただろうが、こっちはおまけだと見ている。

 

         

         

 

 もっとも、これは山の端を少し離れたものだ。

 

    鳥啼く声す 夢覚ませ

    見よ明け渡る 東を

         空色映えて 沖つ辺に

         帆船群れゐぬ 靄の中

 

               とりなくこゑす ゆめさませ  

               みよあけわたる ひんかしを

               そらいろはえて おきつへに

               ほふねむれゐぬ もやのうち  

 

 今日も元旦の日の出と変わりはない。

 朝の訪れを告げる鳥の鳴き声、(朝ぼらけの海の美しさ)眠りから覚めて活動を始める

人々 ・・・ 早朝の風景を謡っている。

 

    「鳥啼く歌 とりなくうた 」と言われ、「いろはにほへと」の「(古)いろは歌」に

   対して、「(新)いろは歌」と呼ばれたらしい。明治時代後半

 

 

 日の出を見る機会があって、そんなことを思い出した。

 正月で、初春と言ったりするが、師走はまだまだ残っている。

 それでも、鳥の鳴き声は、春を呼んでいるようにも聞こえる。 ― そんな朝だ。