梨-有りの実と呼びたい


 気温にも、北側の山の姿にも、秋の深まりが感じられる。
 少し前に届いていた梨が、仏間で完熟してしまっている。

     イメージ 1 豊水 大田原産
 
 那須野産の豊水を「めぐ実ちゃん」と呼んでいる。
 糖度13度以上の濃厚な甘さの自信作だからこそだ。

 完熟した梨の香りは、甘みと酸味が進んだものだ。
 嗅覚が優先されて、舌や、他の3(4)感覚で味わっている。

 このみずみずしさは、「梨花一枝春帯雨」(美人の悲しむ姿を「一枝の白い梨の花が 春の雨に濡れている」という意味のたとえ)と詠まれた楊貴妃の涙が残り、実になったときに、零れたものか。
                                                      
  梨は平安時代、「無し」の音を嫌って「有りの実」と呼ばれた。イメージ 2
  秋も、何だか「空き」や「飽き」が想われて嫌なのだけれど・・・。