いちょうの海


 仰ぎ見るところにあった黄葉の群れが、雨で一斉に箒の枝を離れた。

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 いちょうだ。いちょうの海だ。

 大人が3人はいないと抱えるまねが出来ないほどの幹は、私の住む小さな集落の入口にある。
 そして、そのまた小さな社の庭を、黄色い葉で埋め尽くしている。

    子どもの頃、寒くなりかけた朝に、
    これを踏んで小学校へ通ったものだ。
    帰りには、友だちと互いに投げつけ合ったりもした。

 変わらぬ自然の繰り返しは、遠い記憶を思い出させてくれる。