山形発「私の青おに」を見て


 山形発とは、ドラマ「私の青おに」が高畠町の生まれの浜田広介の「泣いた赤おに」をモチーフにしたもので、地元の放送局が制作したものだからだ。

 「泣いた赤おに」は、いつ読んでも読むたびに切なさや温かさ、様々な思いが波立つ童話だ。かつて小学校の教科書にも載っていた。
 一方「私の青おに」は、「泣いた赤おに」に、もし続きがあったなら赤おにと青おには、どのように生きているのか、現代劇で描いたもの。
        
           〈その後〉の赤おに(莉子)は負い目を抱えな
イメージ 1 がら都に旅立ち、孤独な青おに(夏目)の方が町
 にあえてとどまる。外見的には夢を叶えた赤おに
 が、実は道に迷い、表向きにはうまくやっている
 が周りに対してどこか鎧をかぶっている部分があ
 り自分を生きていない。逆に、町に留った青おに
 の方が新たな夢に向かって地に足をつけて生きて
 いる。莉子にとっての「私の青おに」というのは
 夏目だけではなく、故郷の田園風景や美しい自然 
 周りの人すべてなのだ。

 その〈負い目を抱えながら〉には、2つあった。(二人の夢と、人間関係だったろうか、読者・鑑賞者に委ねたい。)
 現代版に見る人と人との関わりの希薄さに、日頃の私自身がそのようであるかと、震えを覚えた。(シンプルとかクールとかに侵され、自分が傷つくのを恐れ、形ばかりの繋がりを広げてかえって不安の中にいる。)

                           
 山形には何故か愛着を持っていて、9月には、
高畠町にマラソンに行っていたが、浜田広介記念        イメージ 2
館も見ずに帰っていた。今になって悔やんだ。
 高畠町には、江戸幕府天領地、シャインマス
カットやラ・ランスの産地、亀岡文殊堂や安久津
八幡 神社、温泉・昭和縁結び通り商店街等が付く。
次回は見てくる。                  役場前のナナカマド

   日本の原風景のような高畠町の景色のなかで、別々の人生を歩んできた二人の若い女性が織りなす素敵なドラマに、自らが歩いてきた旅で出会った景色や人を思い起こした。