連日の20℃超えに、春が一気に進む。
雑草の繁茂を心配する気持ちが増しつつ、私の奥底でそれらに抗する目論みも認めて、春の暮らしに向かう。
その少し背を伸ばした緑に、明かりを灯すように桃が咲いた。
白紅黄と並んだ
今年も、紅白で咲いた。
咲いた後に実を付けるが食べるほど大きくはならない
から、手入れを怠っているのをこの時のみ感じる。
桜と同じように、幹に苔が生えたり、細い枝の先端が
枯れてしまったりしている。
この桃が咲くということは、今年も母の命日が来るということだ。
母は、霊〈たましい〉としても家には戻ってこないが、一生懸命に、精一杯に生きているかと問うだろう。
仏間から桃は見えるが、その遺影の笑みは深い。