朝のランニングを終えて、家の周りを歩いていると、何かが道を汚しているのが目に付いた。
今頃よくある虫が刺して早めに赤くなって落ちた柿かと思った。しかし、柿の木がない。
もっと近づいてみると、榧かやの実がはじけた皮だった。
今の家に移ってから、家の裏手の垣に植えたものが、今年初めて実を付けたのに気付かずにいたのだ。
当時、榧は庭木として人気があって、父が植えたが20年以上かかって実を付けたというわけだ。
木についている実は、青々としている。
熟してくると、緑の皮に裂け目が出来て、蒼いまま落ちる。
その皮が、褐色になって道に斑点をつくっていた。
落ちると、小指の先ほどの大きさの黄色がかった実が飛び出す。
榧独特の植物の油が、いい香りを漂わせる。
イチイ科だが、椿などと同じよう人の近くにあったようだ。
子どもの頃、笛を作って遊んだ。食糧難の頃は、中の白い部分を食べたと聞いたことがあった。