あっちもこっちも入学試験の時季だ。
休みが貰えたが、いざとなると時をもてあます。
古本屋へ行って、脚が痛くなるほど、面白そうなのを探し回った。
こんな本に出会った。(内舘の別なのを探していたから。)
地方紙へのコラムなども、読者に楽しみにされ
ているという。
大相撲通で、2000年から10年間女性で唯一の
webの書評に、こうある。
「定年って生前葬だな。」衝撃的なこの一文から本書は始まる。
大手銀行の出世コースから子会社に出向させられ、その
まま定年を迎えた主人公・田代壮介。仕事一筋だった彼は
途方に暮れる。
年下でまだ仕事をしている妻は旅行などにも乗り気ではない。図
書館通いやジムで体を鍛えることは、いかにも年寄りじみていて抵
抗がある。
どんな仕事でもいいから働きたいと職探しをしてみる
と、高学歴や立派な職歴がかえって邪魔をしてうまくいか
ない。
これからどうする。惑い、あがき続ける田代に
安息の時は訪れるのか。シニア世代の今日的問題
であり、避けられない普遍的テーマを描いる。
私は定年後、幸いにして現役時代と近い所で仕事を得ていたが、
想像していた世界にはやや遠いことを感じて、「終わった人」にな
ろうとしている。
在るはずと悪あがきをしてきたが、「品格ある衰退」と格好を付
けて成仏させようと思っている。