粗品として、アイスクリームスプーンを貰った。
アイスクリームが好きかと問われて、はいと答えたからだ。
9.8cm 14g
アルミ製で、ゴールド色。
固いアイスが食べやすくなるとか。熱伝導
この頃、運に恵まれていないので、これで掬ってやろうかと、真っ先
に考えてしまった。小さなものでいいから ・・・。
頭に浮かんだのは、金色の匙ならぬ、『銀の匙』。
アニメではなく、中勘助の作。戦前のものだ。
国語の教材としてよく採り上げられていて、その記録なども多い。
なかなか開かなかった茶箪笥の抽匣ひきだしから
見つけた銀の匙。伯母の無限の愛情に包まれて過
ごした日々、少年時代の思い出を中勘助が、自伝
風に綴った作品。子ども自身の感情世界が、子ど
もが感じ体験したままに、子どもの目線で素直に
描き出されている。
漱石が未曾有の秀作と絶賛したと伝えられる。
すぐに、青空文庫で、読むことが出来た。
匙を貰ってから、そう時間も経たないうちに掬った、本当に小さな幸
せだった。
こんなものでもいいから ・・・。文鎮として、そこにおく。