庭の続きに、雑草のはびこる耕作放棄地があって、その向こうに竹林に囲まれた旧家が残っている。崩れるのを待っているだけなのだが。
その草の始末の続きに、私の足は昭和にタイムスリップする。
竹林になってしまった庭に、移植したエビネランが西日を受けて、僅かに光っているようにも見える。
かぐや姫を見出した竹取の翁の感激はこんなものだったか。
弟たちの仕業だったろうか。
昭和から平成に移るのと同じくして今の家に引っ越したから、ずっと
こういう光景が続いていたのだろうけれど、この時間がなかったためか
気付かずにいたのだろう。
旧家の庭も竹林になってしまって、半日陰を好むエビネランが
何カ所にも広がっている。
野生ながらランの花の一房ひとふさは、実に見とれるきれいさ
だ。私の暮らしを長いこと見ていてくれたと気付いたからか。
日が当たるところには、茗荷が芽を
出していた。
これは、味噌汁にして楽しめる。
竹の葉がバックで目立たなくて残念。