夕方になっても、雨も風も止まない。
この春最後だろうと、ほかに遅れて満開になった枝垂桜を観に行った。
予報通り、朝からの春の嵐だった。
花房を付けた細い枝は、女性の髪が風になびくようだった。
枝垂桜はもっと紅を差しているはずなのに、冷たい雨と風にやられている。
行く春の桜だというのに、艶やかに咲くこと許してくれない。
次の桜が、優なる姿であらんことと、待とう。
夕方になっていっそう強まった風が、私が家に入るまで追いかけてきた。
音を立てている北の風は、山に雪を降らせたのかもしれない。
なかなか春を盛りにしてくらない。
待つか、抗するか、私は笑っている。
これなら、仕方ないか。