春の嵐の日

 

 夕方になっても、雨も風も止まない。

 この春最後だろうと、ほかに遅れて満開になった枝垂桜を観に行った。

 

 予報通り、朝からの春の嵐だった。

 花房を付けた細い枝は、女性の髪が風になびくようだった。 

 

 

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 枝垂桜はもっと紅を差しているはずなのに、冷たい雨と風にやられている。

 行く春の桜だというのに、艶やかに咲くこと許してくれない。

   次の桜が、優なる姿であらんことと、待とう。

 

 

 夕方になっていっそう強まった風が、私が家に入るまで追いかけてきた。

    音を立てている北の風は、山に雪を降らせたのかもしれない。

 

 なかなか春を盛りにしてくらない。

 待つか、抗するか、私は笑っている。 

          これなら、仕方ないか。f:id:komut:20200413195945p:plain