この間、クロアゲハの幼虫を、怪獣と呼んだ。
自らを虫の世界に移したら、あの芋虫はまさにそれだった。
今朝の怪獣は、私たちに甘い香りを寄せてくる奴だ。
金平糖のような怪しい獣だ。
近寄って姿を確かめると、こんな黄金色で、深呼吸をするとむせるくらいだ。
足下には、散り敷いた金平糖。
見上げれば、家の高さで空に広がる大きな樹。
甘い香りは、あたかもささやかな幸せのように、ふわふわと流れ定まらない。
山あいの村では、この下で白菜が作られている。
白菜は、この香りで美味く育つだろう。