今日が赤いのは、憲法記念日だからだ。
会社勤めの人たちにとっては、何の日であろうがカレンダーの通り休みで、連休にな
るので少しも問題だとは感じないだろう。
ちょっとだけ、憲法について考える日でもある。
改憲が声高に言われていた。
その旗を振り続けた安倍前首相が退陣し、後継の菅首相に強い意欲はうかがえない。
そういう日を、緊急事態が宣言される中で迎えた。
全国の死者は累計1万人を超え、医療崩壊の危機に瀕する状況が起こっている。
感染対策の強化と国民の暮らし、自由と権利をどう調和させるか、難しい局面が続い
ている。
日本のコロナ対策は、時短・休業にしろ、外出自粛にしろ、罰則によらない「お願
い」が基本だった。
第一波を、これで乗り切り、第二波に2度目の宣言が出されると新型コロナ対策関連
法に罰則が導入された。
そして今、私たちは、変異ウイルスの猛威を受けた第四波のさなかにいる。
感染拡大をふせぐために、どこまで自由や権利の制限を受け入れるのか。
非正規労働者らへのしわよせが深刻化する中、憲法25条が保障する「健康で文化的な
最低限度の生活を営む権利」をどう実現するのか。
いずれも、各条文の趣旨を踏まえて熟考すべき課題だが、憲法を改めなければ対処出
来ないということもない。
施行から74年、国民の間に定着し、戦後日本の平和と繁栄、自由な社会の礎となって
きた憲法の価値を十分尊重し生かすことが、今求められていることだ。
それこそが首相に課された責務だ。