山あいのむらの火事

 

 近くで火事があった。

 10km くらいは離れているところだろうか。

 

 火事を知ったのは、地元の消防団(の消防車)がサイレンを鳴らして向かったからだ。

 その前に、消防署の消防車が動いているので、

    ああ、あの低い山の向こう当たりで火事が起こった  と分かっていた。

 

       

         

 

 ちょうど私が帰宅した時間帯だったので、いっそう驚いた。

 消防車が現場に向かう道路を横切ってきたから、出くわさないのも不思議に

思いながら、夕暮れに近い空と低い山を見つめた。

 

    翌日の地元紙は、

      午後4時55分ごろ出火、農業男性(80)方で火災があり、納屋1棟を

    全焼し、午後6時12分に鎮火した。警察署は、焼失面積や出火原因を調べ

    ている と伝えていた。

 

 

 いつもと変わらぬ事故だった。

 違うのは、防災無線で知らせていないことだ。

 火事を面白がっているわけではないが、普通はそれが放送していた筈だ。

 

    平日の夕方、隣村の地元の消防団がサイレンを鳴らして出かけた。

    遊びから帰った私は、心が痛かった。(大事でなくまだよかったか。)

 

 防災無線は、そのころ(明朝の降霜に注意を促す放送の後)、鎮火を告げた。

 災害を受けた人に気遣いしたというのか ・・・。