秋明菊 時は流れて


 庭先の秋明菊がほころび始めた。
 ああ、あの古刹では、どんなにか咲き誇っているだろうと思った。

 誘われているようで、間もなく訪れることとなる。
 秋明菊は、かつてとは違って、ひっそりと静かに咲いていた。

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 以前に何度か訪れた時には、この方丈(仏像や祖師像が安置される本堂の役割を担う建物)の高床から一斉に顔をのぞかせていた。
 時の流れを感じた。秋明菊は、日当たりが良すぎると後退する。

 野分が去った後で、飛び石を落ち葉が覆っていた。
 境内の静けさの変わらなかったが、古の心は見えない。

 この古刹は、芭蕉奥の細道行で立ち寄った寺だ。イメージ 3

 寺域には当時の住職であった仏頂禅師と芭蕉の歌碑がある。
                      木啄も庵はやぶらず夏木立 だ。