菖蒲と蓬




 岩手県に「五月の菖蒲と蓬」という民話が伝わっている。(日本の昔話)
                                             
   むかし、あるところに大層(たいそう)しまりやの男がおったと。
   男は日頃から、「飯(まま)食わない嫁(よめ)がほしい」
          「飯食わない女房(おかた)がほしい」
  と、いうておった。

          (略)

      
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   男は、いよいよ食われるのか、と血の気なくしていたら、木の枝
  がタライにバリバリ当たった。
   今しかないと、男がその枝につかまると、木の下の蓬よもぎと菖蒲
    しょうぶの生えている中に、ボッサリ落ちたと。
 
   女房の眷族が「そこに落ちたぁ」とよってきたと。
   が、蓬は臭くて化物の嫌いなものだし、菖蒲は一本一本刀の刃の
  ようになって、化物どもをそこへ寄せつけなかったと。
  
   男は危ないところを助かったと。
   丁度この日が五月の節句の日だったので、それからというもの、
  五月節句には屋根に菖蒲と蓬をさすようになったのだと。

   どんとはれ。


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 5月5日は「こどもの日」、「端午の節句」とも言う。
 この日に、軒先にショウブとヨモギを飾り、風呂に入れる風習がある。 魔除けや厄払いの霊力があると考えられ、穢れや災厄を祓った。

 民話がその謂われを言っているが、略していて分かりにくいだろう。