友だち幻相だらけ


 ある書店で売れている著書ベスト10を見た。
 第2位にあったのが、『友だち幻想』(菅野仁著ちくまプリマ―新書)だ。


イメージ 1  また、読み通してはいない。
  「人間関係で初めてつまずきを感じる多感な年頃の
 中・高校生に向けて書いたもの」と出版社コメント。
  他者との距離感にもう少し敏感になることで、もっ
 と豊かな関係を築くことができると説くことに、老若
 問わず深く共感する声が多いと書評がある。
  そして、2008年刊行以来18万部、うち14万部はこ
 の1年での売り上げだという。


    どうして友だちとの関係で傷つき、悩むのだろうか、人と人
   との距離感覚をみがいて、上手に「つながり」を築けるように
   なろう、と言う。
    人々は、孤独に耐えられず「つながり」を自分の周りのあち
   こちで求めていると眺められる。この本が売れているのは、そ
   れを肯定しているからだろう。


 東日本大震災後に、「絆」という言葉を広く考えたり使ったりしているように感じる。それが、「つながり」を仲間に加え、番号やIDでだけでもつながっていたいと思う人が少なくないことを表している。