つゆの雨が、建物の間の通路に水たまりを作っている。
水たまりに、水輪を描いている。
5分前、30mしか離れていない所にあった煩わしさが去った。
「みなわ」という言葉が浮かんでくる日本人らしさが嬉しい。
こんな光景をしみじみと眺める時間が、快く愉しい。
出掛ける予定の夜に、テンションが下がりつつある …。これを
何とか好転させようと、頭の中で愚策が、ぐるぐる巡っている。
帰宅の道の紫陽花が、その雨を受けて色を濃くしている。
これが、彼女の好きな水色(ライトブルーではない。)なのだから、ああ、こ
れは、きっと幸運の兆しなのだろう。