今年は、桜越しに如月の望月を眺めた人があったかもしれない。
西の方では、気の早いのが開き出したというから。
私のところでは、雲が出て月もない。
夜半過ぎでも、ぼやけている。
ちょっと味気ないが、温暖化がもう少し進めば、西行の桜を眺めることができるだろう。
西行は釈迦入滅の「この日」、桜の下で果てたいと
「願はくば花の下にて春死なむ …」と、詠んでいたと言わ
れている。そして、願い通り建久元年二月十六日、河内の
弘川寺にてこの世を去ったと。
この西行の歌と死は重なったように見えるが、時間的にもズレがあったことは証明されている。
一ヵ月後、おそい江戸彼岸越しに弥生の月でも眺めよう。