朝の雨は、梅雨入り宣言だった。
平年に合わせたように、東海・北陸・東北南部から関東甲信まで。
今日は、昨日までの疲れのために、家の中で過ごすには恵みの雨だ。
雨は強弱を繰り返して、昼になった。
吹きだまった木の葉をうまく流せたか心配で外に出た。
水分をたっぷり含んだ雑草の緑の中、ドクダミの白が主張している。
どくだみの 花のにほひを 思ふとき
青みて迫る 君がまなざし
北原白秋 「桐の花」
ドクダミの花自体はあまり匂いではない。むしったり、踏み
付つけたりすると、いつまでもそれが手から頭から取れない。
白秋の禁断の恋は、この花の匂いのイメージと重なって逃れ
られなくなって自らに迫って来る。
令和になって、もうそんな時代は遙か昔になった。
私は違うと言ったって、時の過ぎるのには抗えない。