いつもより早く起きて、盆棚を飾った。
今年も、うどん・昆布は捧げなかった。末永くは、もう必要がない。
先祖の迎えも、できる限り早く行くことにした。
田舎だから、近隣の家々とまとまって雑木林の中にある。
蚊に追われるように帰って、門口で藁に火を付ける。
夕方、赤々と燃やしてやろう。
夜になって酒も済んだころ、今夜は絶やさないようにと何度か線香をあげる。
茶の間に戻ると、開いておいたパソコンに怪獣が出ていた。
これは、カナブンだ。コガネムシではない。
腐った葉や朽木を分解して土壌を改良し、森林を豊かにしてくれるやつだ。
キーボードの姿は、その切り取った世界の怪獣だ。実は快獣なのだ。
一年ぶりに帰ったご先祖が、私と一緒に過ごしたいと、そこにいるのか。