曼珠沙華咲く

　やっと彼岸花が咲いた。

　台風が続けてきていたから、その細工もののような花びらは、雨風にやられないように開く時を待っていたかのようだ。

　　　　　　　　

　ずっと前から広く絨毯を敷いたように咲くのだが、ここの株が他に先んじて明日が彼岸の中日であると告げるように、すっと立って見せたのだろう。

　彼岸花は、両親や祖父母の好きなもの届けたり、持って線香を上げたりする弟たちを見ているだろう。

　そして、ささやかな幸運をもたらすに違いない。