早い竹林の音

 

 冷えた夜は、静かだ。

 みんな寝静まって、小さな音でも、私にやってくる。

 

 屋根は結露した水蒸気に冷やされて、僅かに縮んで音を立てる。

 縁側の柱も、微かに軋む音をさせてくる。

 

 少し離れた竹林から乾き切っていない音がする。

 満月を観ようとする私に、確かに聞けよと言っている。

 

         

         f:id:komut:20211219103345p:plain 満月に照らされた竹林

 

 昨夜降った霰のような雪の溶けたのが、枯れた竹にしみこんだのが凍る音だ。

 竹は密集していて、日陰だから冷やされたままだ。

 もっとも今日は、朝から午前中いっぱい風花が舞い、5℃にも届かない寒い日だった

 

 

 節分の頃になると、こんな音が家の中からも聞こえるくらいに寒くなる。

 この沈黙を、独り占めしているのか、ただ一人だからなのか。