そして紫のハナダイコン



 その足元近いところに、紫の点々。
 花大根ハナダイコン


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 この花、「大根」に名前の半分をもらって、様々な花が主張するように咲く隙間で、遠慮がちに群れ咲いているように見える。

 赤い二十日大根を「花大根」とも呼ぶらしい。     イメージ 2

 
 そんなものを見ていたら、正式名称に「ハナダイコン」をもつ植物は別ものだということに行きついた。(Wikipediaなど)

    葉姿がダイコンに似ているので「ハナダイコン」と呼んで、
    よく浸透しているこの紫の花。
     実は、「ヘスペリス」とい名のアブラナ科の植物の正式名称
    が同じ「ハナダイコン」であるため、この花(オオアラセイトウ)
    をこの名で呼ぶのはよくないと、多くの専門家が指摘する。
   
   ※ 「ヘスペリス」はアブラナ科の2年草で、春に似た花を
    咲かせるが、花の色は白色をしている。

 オオアラセイトウと呼ぶのがいいということだ。        
 「オオ」をとって「アラセイトウ」だったら、
「ストック」だったと思う。確かに、花、似ている。 イメージ 3


 「あらせいとう」に、新川和江の詩を思い出す。

       わたしを束ねないで

    わたしを束ねないで
    あらせいとうの花のように 白い葱のように
    束ねないでください わたしは稲穂
    秋 大地が胸を焦がす
    見渡すかぎりの金色(こんじき)
の稲穂

    わたしを止めないで
    標本箱の昆虫のように 高原からきた絵葉書のように
    止めないでください わたしは羽撃(はばた)

    こやみなく空のひろさをかいさぐっている
    目には見えないつばさの音

    わたしを注(つ)
がないで
    日常性に薄められた牛乳のように ぬるい酒のように
    注がないでください わたしは海
    夜 とほうもなく満ちてくる
    苦い潮(うしお)
 ふちのない水
 
    わたしを名付けないで
    娘という名 妻という名
    重々しい母という名でしつらえた座に
    座りきりにさせないでください わたしは風
    りんごの木と 泉のありかを知っている風
    
    わたしを区切らないで
    ,(コンマ)や (ピリオド
 いくつかの段落
    そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
    こまめにけりをつけないでください わたしは終わりのない文章
    川と同じく はてしなく流れていく 
    拡がっていく 一行の詩