その足元近いところに、紫の点々。
花大根ハナダイコン。
この花、「大根」に名前の半分をもらって、様々な花が主張するように咲く隙間で、遠慮がちに群れ咲いているように見える。
赤い二十日大根を「花大根」とも呼ぶらしい。
葉姿がダイコンに似ているので「ハナダイコン」と呼んで、
よく浸透しているこの紫の花。
実は、「ヘスペリス」とい名のアブラナ科の植物の正式名称
をこの名で呼ぶのはよくないと、多くの専門家が指摘する。
※ 「ヘスペリス」はアブラナ科の2年草で、春に似た花を
咲かせるが、花の色は白色をしている。
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オオアラセイトウと呼ぶのがいいということだ。
「オオ」をとって「アラセイトウ」だったら、
「ストック」だったと思う。確かに、花、似ている。
「あらせいとう」に、新川和江の詩を思い出す。
わたしを束ねないで
わたしを束ねないで
あらせいとうの花のように 白い葱のように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色(こんじき)の稲穂
わたしを止めないで
標本箱の昆虫のように 高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽撃(はばた)き
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音
わたしを注(つ)がないで
日常性に薄められた牛乳のように ぬるい酒のように
注がないでください わたしは海
夜 とほうもなく満ちてくる
苦い潮(うしお) ふちのない水
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色(こんじき)の稲穂
わたしを止めないで
標本箱の昆虫のように 高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽撃(はばた)き
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音
わたしを注(つ)がないで
日常性に薄められた牛乳のように ぬるい酒のように
注がないでください わたしは海
夜 とほうもなく満ちてくる
苦い潮(うしお) ふちのない水
わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
座りきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と 泉のありかを知っている風
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
座りきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と 泉のありかを知っている風
わたしを区切らないで
,(コンマ)や .(ピリオド) いくつかの段落
そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください わたしは終わりのない文章
川と同じく はてしなく流れていく
,(コンマ)や .(ピリオド) いくつかの段落
そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください わたしは終わりのない文章
川と同じく はてしなく流れていく
拡がっていく 一行の詩