梨の花


 この時期、私の近くにある梨は白い花を満開にしている。その花はきれいに剪定された枝に、またきれいに並んでいる。
 花を愉しもうとするには、味気ない。

 これは、やまなしだ。


    イメージ 1 幹周ウエスト79㎝高さ投捕間


 なぜか、やまなしはこんな山の中でも減っているように思われる。
 「なし」だから子孫を残さないのか。

 
 紅梅、桜、藤、橘、梨、桐、楝おうちと、5番目にきれいだとしているのは、枕草子清少納言だ。

 ただ、中国での愛でられ方や楊貴妃にまつわる逸話なども取り上げ、
もっとも多い文字を当てている。

    中国では漢詩文にもつくるが、やはりおもしろみがないのかと
   見ると花びらの端に赴き深い美しい色つやがついているようだ。
    
    楊貴妃が、玄宗皇帝の使者に会って泣いた顔に似せて、「梨の
   花の一枝が、春、雨にしっとり濡れているようだ。」と、白楽天
   が長恨歌で言っているのは、一通りの美しさではないだろう。そ
   う思うと、梨の花が大層素晴らしいことは他に類がないだろう。


 私には、〈やまなし〉なら、宮沢賢治の「やまなし」だ。
 熟した実が芳香を放ち、幸せで満ち足りた世界を醸し出してくれる。


    イメージ 2 やまなしの一枝


 かにのお父さんのように、実がなり、熟するのを待とう。