県北地方では、八月一日は釜蓋朔日(かまぶたのついたち)と呼んで、地獄の釜の蓋が開く日とされている。地獄とは、あの世のこと。釜の蓋を開けるのは閻魔大王。
農家の年寄りなど、たんさん饅頭をお供えと自分で食べる分と、つくってきた。
私は、今年も慣わしに従って、釜の蓋饅頭を供えた。(酒饅頭:○木菓子店)
八月はお盆の月。朔日はその始まり。
ご先祖は、この日を待ちかねていたように釜の蓋から出て、我が家に向かって旅に出る。道中の食料やおやつにしてもらうということらしい。
私もこれで、お盆の準備が始まった。
それまで十日あまり、聞いてきた習慣を落とさないようにと、心づもりが巡った。