不如帰声高らか

 

 今年のほととぎすの初音は、夕方だった。

 高い空を甲高い声で、渡った。

 

 東の山の端から空いっぱいを横切っていったから、いつもより長い時間その声を聞い

たような気がした。

 あまりいいことがないが我慢のしどころだと言いた気にも聞こえた。

 

 まだ日は空にあり、湧いた雲を照らしている。

 

        f:id:komut:20200518055414j:plain

 

 まだ、北へ行くのか。

 ここも山あいだが、もっと山深いところで夏を過ごそうとしているのか。

 

 朝まだ夜が明けぬうち、あるいは夕暮れに渡ることが多い。

 真夜中に近く、低いところで聞くことがある。昔話を思い出す。