高めてくれるか赤い実

 

 何かに迷って答えが出ないとき、過ぎてしまった失敗を、どうしたらよかったか、こ

れからどうすればよいか考えるときなど、身体を鍛えるとともに心も強くありたいと、

一人黙って山道を歩くことがある。

 

 今日は、名案もないし、いいトレーニングにもならなかったかもしれない。

 ただ、応援してくれるような赤い実に出会った。オオカメノキだった。

 

        

        f:id:komut:20200824172129p:plain

 

 引き付けられるように近づいた。

 稔りの季節を迎えた赤は、自信たっぷりに輝いて見えた。

 

 

 これが、白い花だった頃、私は雨の間を縫って、遍路のように歩いた。

 何もいいことには出会わなかったが、妙に気分がすっきりした覚えがある。

 

        

        f:id:komut:20200824173348p:plain

              赤い実の木とは別の木

 

 今日も、赤い実を見て、歩いて、折り返しからの足が軽くなった。

 そのくらいでいいだろう。オオカメノキも、そんな木だ。

 山あいの流れの傍に生きている質素な木だ。

 私も、それに似せよう。