何かに迷って答えが出ないとき、過ぎてしまった失敗を、どうしたらよかったか、こ
れからどうすればよいか考えるときなど、身体を鍛えるとともに心も強くありたいと、
一人黙って山道を歩くことがある。
今日は、名案もないし、いいトレーニングにもならなかったかもしれない。
ただ、応援してくれるような赤い実に出会った。オオカメノキだった。
引き付けられるように近づいた。
稔りの季節を迎えた赤は、自信たっぷりに輝いて見えた。
これが、白い花だった頃、私は雨の間を縫って、遍路のように歩いた。
何もいいことには出会わなかったが、妙に気分がすっきりした覚えがある。
赤い実の木とは別の木
今日も、赤い実を見て、歩いて、折り返しからの足が軽くなった。
そのくらいでいいだろう。オオカメノキも、そんな木だ。
山あいの流れの傍に生きている質素な木だ。
私も、それに似せよう。