まあまあ幸せ


 春の高校野球は決勝で、初優勝と、55年ぶりの優勝を狙うチームの闘いが延長戦にもつれる日になっていた。
 海老先輩は大学野球観戦、かつての教え子の勇姿を確かめるように、東京へ出かけている。

 弟が、大学を卒業して初めて職に就く娘の引っ越しの間をぬって訪れる、春の日 …。

 私は、明日から野球にも関わって忙しくなるかもしれないと、無心に除草に取り組んでいた。

         イメージ 1 そのたんぽぽの笑顔


 結果的に兄が弟に示してきたものは、野球・教員・国語国文学で、一般的にあまり価値が高いものではなかったようだ。

 それでも、どうしてか、「野球」で話がまとまる。

 弟が仏壇に向かって手を合わせたとき、父も、母もほほえんでいる。
 兄も弟も最高ではないけれど、きっと頷いてくれるだろう。


 昔の話をしているうちに、日が傾く。

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 穏やかに日が暮れて、まあまあ幸せであることを確認する。


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 豪華ではないが、その黄色の花々に包まれているから。