時を歩く

 

 雨が止むのを待って、歩こうと出かけた。

 天気予報は、気温が上がって南から吹き込む風が強くなり、春の嵐並みになるだろうと言っていた。― 気温も上がらないし、風も吹かない。

 

 正月に早々歩いたら、腰回りに不調は出ないし、かえって身体の調子がよさそうだ。少なくても10kmを、5~6km/時で歩きたいと思ってしまう。

 隣町の大子広域公園が、何にも気にすることなく歩いたり走ったり出来るところだ。こんな天候なら誰もいないだろう。

        

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 走るのなら、高低差55mを東西に往復するのだが、まだ出来ない。

 はっきりとした目標があるわけではないから、足にも腰にも、心肺機能にも、以前にそんなことがあったと思い起こさせることが出来ればいいと思っただけだ。

 

 

 西側に下りて町の北側を回ることにした。

 八溝山への大鳥居、大子清流高校から愛宕町、矢田から森林温泉へと、久慈川の西を北へ歩く。

        

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 街はすっかりさびれている。通りから入れば空き家だらけだ。

 日中に、暇そうに歩いていると目立ってしまうと思わず速足になる。

 

 伯母が住んでいた愛宕町でも、半分まで来ていない。

   家は解体し、更地にしてある。私が受け継いだ。

   十二支神社の石段は、子どもの頃を思い出させる。

 

 以前走ったところを、歩いている自分が情けなかった。

 

 歩いていると景色の流れがゆっくりでじれったい。

 だから、いろいろなことが頭の中を駆け巡る。

 すれ違った小学生と同じ頃だから、半世紀も前のことだ。

 

 100分ほどで歩いた。次は、50分で走る。