梅雨が戻った日に

 

 明けたはずの梅雨が戻った日が続いていた。

 今も、束の間のつゆの晴れ間を思わせる。

 

 雑木林の蝉時雨が、わが家にまで届いている。

 ニイニイゼミだ。梅雨が明けたら、アブラゼミのはずなのだが。 

 

         

         

 

 追いかけてみる。

 

 さらに近寄ってみると、耳に痛いほどの声だ ・・・。

 

 

         

 

 庭の女郎花に抜け殻がある。

 

 

         

 

 源氏物語に、こんなのがあった。

                    

   空蝉の身をかへてける木のもとに

          なお人がらの懐かしきかな      光源氏(第三帖・空蝉)

                        空蝉うつせみ:蝉または蝉の抜け殻

 

 

 ここらは大雨にはならずに済んで、いいのかもしれない。

 しかし雨では、光源氏のような失敗を続けてしまうだろうか。