芝の上安全は人だけ

 

 今朝蒲団の中で目が覚めたとき、真っ先に頭に浮かんだのはゴルフ場の風景だった。

 秋の風景を楽しんでいた那須No.2。

 

 幸か不幸か、前の方の組の進行が遅いので、のんびりとしていた。

 

         

         

 

 さてティーショットを打って、2nd地点にカートを進める。

 

 少し先の方を2羽の鳥が横切った。

 カモをカラスが追いかけている、と仲間が言った。

 

 彼は、カラスめ怪我をしているカモを狙っている、昨日狩猟解禁だから、どっかでや

られたかなあ、もうカラスの餌食になっちゃうよ、と言う。

  

    羽をばたつかせて逃げるカモをカラスが威嚇しながら追いかける。

    まだ、フェアウェイの真ん中辺り。

    カラスは4、5羽、近くの樹から遠巻きながら、チャンスを窺っているよう。

 

    可哀想だが、駄目だね。                       

                      元気な時はこんなふう

 私にも、チャンスがあった。

 まだ、前がいて2nd が打てない。そして、打つ番が最後。

 

 私はカラスを追うように声を出して走った。55yds+55yds

 そしてカモを抱えて、斜面を下り池の近くの林にそっとおいた。

    傷は深そうだ。脈を感じる。しっかり手応えあり、がダメかもしれない・・・。

 

 カラスらがカモに群がるのを見ずに済んだと彼は言った。

    

    この頃のカモは渡りをせずゴルフ場の池で越冬する。夏には雛をぞろぞろ連れ 

   て芝の上を横切っていくのを見る。そこが安全な場所なのを知っている。

    近くの川や田んぼなどに餌を採りに行く時が最も危険だろう。

 

 多分あの樹の下で息絶えるだろうと彼らに告げた。

 ここでは、もうそっちへは打てない。