春近くて遠い

 

 いよいよ、三月が始まった。

 よしと身体に力が入るというより、寒くて固まってってしまう感じだ。

 

   氷解け去り 葦は角ぐむ      春は名のみの 風の寒さや

   さては時ぞと 思うあやにく    谷の鶯 歌は思えど

   今日もきのうも 雪の空      時にあらずと 声も立てず

   今日もきのうも 雪の空      時にあらずと 声も立てず

     

        春と聞かねば 知らでありしを                                           聞けば急かるる 胸の思いを                                            いかにせよとの この頃か                                                                           早春賦とおりの空だ。   いかにせよとの この頃か

  

                  

 ちょうど1週間前に啼き出した鶯の、声が聞こえて来ない。

    三月から新暦だって春。

    旧暦でも、間もなく如月。

 

 風を受けないような場所を選んで野山を歩く。

 日溜まりに、寒さを越した蒲公英、菜の花が咲いている。

 ここだけは、春の日差しを受けている。

  

          

 

 2、3日前から暦をめくっておいたのだが、効果はなかった。

 春到来への念いは、モーツァルトの「春への憧れ」に似ているだろう。